国民健康保険と社会保険の違いとは?

かしげる

 

主な保険として、公的医療保険制度の国民健康保険と社会保険(健康保険)が挙げられます。

 

一般的に、国保・社保と省略して使う事が多いかもしれません。

 

日本に住んでいる方は、最低限必ずどちらかの保険に加入しており、保険料を払っているわけですが、この2つの違いはご存知でしょうか?

 

社会保険の方は、保険加入に条件があるので、必ずしも誰もが利用できるわけではありません。

 

しかし、国民保険の方は、国民皆保険制度があるので、誰でもが加入できますし加入する義務があります。

 

それらの保険料を払うのが厳しい方は、国民皆保険制度なんてあるから!と思うかもしれませんが、その制度があるおかげで保険証が発行され、自己負担を抑えた医療費で保健医療が受けられていることを理解しておく必要があります。

 

加えて、国民健康保険の方であれば、保険料の軽減が可能な制度があるので、どうしても既定の支払いが出来ない場合は、そういった制度をちゃんと利用するようにしましょう。

 

社会保険の方が保険料が安いのはホント?

 

電卓

 

国民健康保険と社会保険では、よく保険料が違うといわれるのですが、元々の支払額設定に違いは実はありません。

 

昔は、社会保険なら本人負担額が1割、国民健康保険は3割と差がありましたが、現在は両方とも3割で統一されています。

 

ところが、実際に保険料を払う時には、社会保険加入者の方が支払額が少なくて済みます。

 

というのは、社会保険に加入している場合、健康保険適用事業所となっている勤務先と保険料が折半になるからです。

 

国民健康保険の場合は、全額保険に入っている個人の負担なので、その点で支払う額に差が出るのです。

 

また、国民健康保険と社会保険は保険料の割り出し方が違います。

 

特に、一般的にも言われているのは社会保険の場合、一人が社会保険に加入していれば、家族を扶養することが出来、社会保険での被扶養者が複数でも保険料が変わらない点が保険料が安く済むといわれる所以です。

 

その点、国民健康保険の方は、収入や年齢などに加え、世帯ごとの加入者の人数も保険料の計算に関わってくるので、国民健康保険に入っている家族が多いほど保険料は高くなってしまいます。

 

その家族の保険加入の状態の点で、しばしば社会保険の扶養からはみ出ないように主婦がパートするには…というボーダーラインが保険料の面で問題となるのです。

 

ちなみに、昨今は大手企業で非正規雇用で働き、社会保険の扶養内に収まるには年収106万円を超えないことが条件となっています。

 

企業規模の小さいところの場合は、少し前から続いている130万円を超えない範囲であれば扶養の内に居られます。

 

保険料は、国民健康時保険か社会保険かでも差が出ますが、住んでいる地域ごとに設定されている保険料率でも差があります。
各地域の保健料率は協会けんぽのHPで、月収毎に確認することが可能です。

 

独身なら国民保険の方が良い?

 

時に、家族が多いのに加え、働いていない家人がいる場合は社会保険の方が保険料が抑えられ、扶養も可能なのでお得です。

 

しかし、独身で特に扶養する家族もいない場合は、国民保険料の方が金額が少なくて済む場合があります。

 

それは、現在の収入よりも前年の収入が少ない時です。

 

というのは、国民保険料は前年度の収入が基準で計算されるので、もし転職する前と後で年収に差がある場合は、社会保険料よりも国民保険料の方が安く済むことがあるのです。

 

社会保険は手当金や育児休業中の免除制度がある?

 

国民健康保険にはなく、社会保険にはある特典として、病気やケガをした時の傷病手当金と女性の妊娠時の出産手当金の2つがあります。

 

また、育児休業を取った場合に保険料が免除される制度もあります。

 

傷病手当金は、病気やケガで4日以上仕事を休む際、1年6ヶ月という期限の中で休業した日数分だけ、給料の3分の2が支給してもらえる手当金です。

 

出産手当金は、出産育児一時金と別に、社会保険を1年以上継続している事で、出産のための休業に関する保証です。

 

産前と産後翌日以降の休業を、合計で98日を範囲として手当金がもらえます。

 

加えて、産前の42日・産後56日の範囲で育児休暇期間中や育児関連で業務に携われなかった期間において、保険料が免除される制度もあり、社会保険は国民健康保険よりも内容が充実しているといえます。

 

国民健康保険も、出産育児一時金は社会保険と同じ金額受け取れますが、それ以外に関しては特に付随するものはありません。

 

国民健康保険から社会保険に切り替えるには?

 

社会保険の加入条件を満たしていて、勤め先が健康保険適用事業所であれば加入手続きが出来ます。

 

その際、社会保険への加入手続きは、会社から渡される被扶養者(異動)届を記入し提出するだけです。

 

切り替え手続き、もとい社会保険加入手続き完了後、約2週間ほどで社会保険証が届きます。

 

社会保険に加入したら、その日から14日以内に国民健康保険からの脱退手続きをしなくてはいけません。

 

社会保険の加入よりも、国民健康保険からの脱退の方が手間がかかるといえます。

 

脱退手続きは、最寄りの市町村役場または営業所で可能です。

 

国民健康保険からの脱退手続きには以下の書類が必要となります。

 

国民健康保険の脱退届に必要な書類

  • 扶養家族分も含む社会保険証または資格所得証明書。
  • 国民健康保険証(切り替えた家族分も)。
  • 本人確認書類。

 

郵送でも国民健康保険からの脱退手続きは可能なので、市役所などに行く時間がない方は郵送で手続きすると良いでしょう。

 

ちなみに、切り替えるまでに国民健康保険と社会保険両方に重複して保険料を支払っていた場合は、国民健康保険脱退手続き時に重複分の還付を受けることが可能です。

 

時に、逆に社会保険から国民健康保険に代わる際は、社会保険の方は脱退手続きが特にありません。

 

ただし、国民保険の方は加入に際しても、脱退と同じように各市町村役場で手続きが必要となります。

 

会社を辞めたら国民保険になる?

 

社会保険は、まとまった時間働いていることが加入条件となっているので、もし退職したりした場合はすぐに国保に切り替えなければいけないと思っている方もいるかもしれません。

 

しかし、社会保険は会社を辞めた後でも任意継続をする事で、2年間は社会保険のままで過ごすことが出来ます。

 

その為、もし扶養家族が沢山いる場合は、少しでも保険料を抑えるなら社会保険の任意継続をした方が良いでしょう。

 

また、一度国保に切り替えてしまうと、任意継続は出来なくなってしまうので、国民保険と社会保険の任意継続のどちらにしようか迷っている場合は、とりあえず任意継続をしておくと良いです。

 

任意継続から国民保険へはどのようなタイミングでも切り替えが可能ですが、任意継続は退職後20日以内に申請する必要があります。

 

ちなみに、再び社会保険に加入できる状況になった場合は、任意継続から社会保険に切り替える事になります。

 

社会保険証はカードローンで有利?

 

時に、カードローン契約をする際も、社会保険に加入していたほうがメリットがあります。

 

というのは、カードローンで保険証を提出する時に、社会保険証であれば勤務先や勤続年数といった情報を金融機関側が把握できるからです。

 

社会保険証には所属している会社や入社日が記載されているので、それによりちゃんと会社に所属しており何年働いているかの確認をするのに役立ちます。

 

加えて、社会保険証は、上述してきたような社会保険加入の条件を満たしていることの証明になります。

 

つまり、正社員であるまたは正社員と同じくらい働いている事が社会保険証から分かるので、安定した収入がある事の証明にもつながるといえるでしょう。

 

その為、国民健康保険証よりも社会保険証の方が、カードローン審査で有利に働くのです。

 

また、万が一勤務先の事情などで、在籍確認が電話で行えない場合などは、社会保険証が在籍確認の代わりに成ることがあります。